2016年9月16日
ナンパ+α
(考察その1、その2のつづき)
理由を探すより前に必要なのが時間であることがある。
時代だのなんだのと理由を探すよりも時間をただ過ごすことでようやく、
その驚きからも少しずつ、傷が癒え始める。
そこで私はさらなる気分転換を求めて、
長らく話していなかった東京の友人に電話をかけてみることにした。
Hは大学時代、ゼミが一緒だった同い年。
「久しぶり、元気〜?」「元気だよ〜。」から始まり、
最近行った美術展などの話、そこから、ずっと気になっていた、
付き合っていたトラブル続きの彼とどうなったのかの話を訊いた。
「きっぱり別れたよ〜。でも今、私にしては珍しい、綺麗目の彼ができた。」とのこと。
「えっ!?」
フリーなわたしは電話を右から左に持ち変え、向こうの友人は調子を変えずに続ける。
「しかも、またフランス人。」
・・・そう、前の彼もフランス人だった。
そして聞くところによると今回はイタリアとイランの合の子で、フランス生まれの彼なんだという。
ややこしいから一個減らしてもらえないかと無理な注文をつけた後、
避けては通れない質問をする。
どうやったらそんなイタリアだかイランだかサフランだかと出会えるのか。
すんなり彼女は答えを教えてくれた。
「それがさ〜、ちょっと怖いんだけど、夜ね、帰り道に声かけられたの。
なんか、後ろついてきてたみたいでさぁ。」
・・・・・・東京でも、ナンパは起こっている。
ナンパは今でも起こりうる。
私は、何か、やるべきことが、あるんじゃないだろうか。
男の人が話しかけやすい、髪型とメイクと服装はこの際必要なんじゃないだろうか。
結婚については多少焦ったほうがいいと親戚からは四面楚歌。
実際に焦らないよりは焦ったほうが、悔いはないのかもしれない、
男受けしないよりはした方がホルモンも活性化されて元気が出るかもしれない。
しかし、と空に手をのばして私は思う。
普段、電車代をケチって自転車で猛スピードで移動しているために、
男の人は私が気になっても声をかけられないのではないか。
あるいは、自転車や歩くスピードの早さのため、
私の顔などが気になっても見そこねている男性が福岡で続出してるのではないか?
ああ、空がこんなに広い。
(おわり)
(2010年、福岡にて)