2016年10月25日

カードネーム

この現代、世の中には色々と便利なカードがある。


最初の記憶が「suica」だ。


もはや説明の必要もないかもしれないが、電車の改札で便利なカードである。
カードにお金を入金(チャージ)しておいて、改札機のある部分にそのカードをピタッとすればゲートが開き、 〜〜中略〜〜 他にも、効能は色々あるらしいが、ここでは略させていただく。

今回私がふれたいのはそういったカードの「名称」についてなのである。

suica」。
はじめてその名を耳にした時、
聞き慣れない言葉に胸が高鳴り、自然と由来を考えた。
「おそらくスイスイっといけるってことだろうな。」と推考し、
満足して一息ついたころ、
現れたのが、「PASMO」だ。
これは当時、限定なのかレアなのかよく分からないが、
これを買うためにたくさんの人がどこぞの窓口に殺到したのを記憶している。
あ、それはそうと名前。
これは「電車もバスも」のお尻の部分だけとってきてちょっとお洒落にしといた、のだろうと想像した。
お次は、関西だ。
関西で生まれたカードの名は「ICOCA」だ。
これはもうそのまま関西のノリだろう、「ほな行こかっ」とできたのだろう。

(今インターネットで調べたら、カード全てに、略す以前の難しい横文字の名前が存在しているらしいが、それは興味ある人だけ調べてください。)

続きまして、私が数ヶ月間だけ暮らした福岡。
ここにも便利カードがあった。

手にしたカードの名前は「nimoca」。
これは「電車にも、バスにも、使えるのか!!」という驚きを表現していると思っていたんだが、調べたところ「バスにも、電車にも、買物にも、いろいろ使えるオールラウンドなカード」ということらしい。最後のcaは驚きの語尾ではなくカードのca、ちょっと遠かった。

そして、話は故郷へと辿り着く。

私の生まれ育った高知でも、電子カードリクエストが高まったのか、
乗り物のための便利カードが誕生していた。

高知県で人が「電車」と呼べばつまり
「チンチン電車(=路面電車)」のことを指している。
それに比べてJRの利用者は限られるため、JR電車は「汽車」と呼ばれる。
勿論、シュッシュッポッポと音を出しては走らないけど、
そんなひと呼吸もふた呼吸も遅れた高知でも、便利カードが誕生していたのだ。

これはすごいことである。

それを知ったのは、飲みに行った帰り。
高校時代の担任の先生に満腹ご馳走になり、
2人で電車(つまりは路面電車)に乗る際、
見慣れた乗車口に見慣れぬ乗車リーダーが備え付けられており私は息をのんだ。
まさか!ここに!タッチするところが!!?
すると先生は普段しゃきっとしている背中を一層のばしカードをピッとやった。
先生!買ったんですか!? と聞くと、
「そうや。いいやろう。」
先生は今まで見たこともないくらい得意気な様子で言った。

そ、そのカードの名前何ですか・・・?

私はどこにいても興味を抱き、由来に思い馳せてきたカードの名称を、
故郷のカードの名称を、
息をのんで待った。

すると先生は 「ですか。」 と言った。

え?なんですか? 、聞き返した。

「だから!ですか!や!」

先生は確実にイラッとして言った。

え?ですか?
なんですか?

勝手に頭の中がクエスチョン形式になる。

ですか』、それが高知で生まれたお洒落で画期的なカードの名称なのである。

なんでそんなに不安気なんだ。

それはどこからきたんだ。

「これでいいんですか?」
「これはこの電車で使えるんですか?」
「ここにタッチしたらいいんですか?」
「このカードはですかですか?」

なんとか名称の起源をたどろうとするも、
確実に語尾に?がついてしまう。逃げられない。
しかもやっぱり不安気。
無理して最後に「そうですか!」 と考えてみても、
今度はなんか傲慢な感じもする。

そんなカードの名前聞いたこともない。

せっかく作ったのに、こんなに不安定なんて、そしてひらがななんて。
路面電車は揺れている。