2017年9月3日

権力

ある日、いつもの通勤路を駅まで歩いていると、
とあるごみ捨て場の前を通りすぎた。

ん?

と思う。
ゴミの上にある、緑色のネットに何か紙のようなものがついていた。
あれだ、ゴミを飛ばないように抑える、あるいはカラスよけの、よくある緑色のネット。
近づいて、その紙を見てみた。

網にさわるな
誰がつけたか
判っているのか


と書かれていた。

「わからない」、と思う。誰がこのネット(網)をつけたか、さっぱりわからない。
そして、すごい、と思う。この張り紙は「わかるだろ?」のテイで書かれているから。
すごい自意識だ。

「オレがつけたってわかってるくせによくも網を」、、、

いや、ちがうかもしれない。
自意識じゃないかもしれない。
自信があるのだ。
俺のものは俺のもの、お前のものも俺のものと謳うジャイアンを軽くこえる力があるんだ。
権力に裏付けられた自信。
自信があるなんてもんじゃない。自信がみなぎっている。

もう一度読んでみる

網にさわるな
誰がつけたか
判っているのか

すごいみなぎりだ。

「わかる」に「判る」という漢字をあてはめているところがやはりすごい。
明確にわかる人物でないととてもじゃないけど「判」は使えない。

しかし、どうしてそんな権力のある人が網を気にしているのか。
もしかして家宝なのだろうか。網が。

そして、網をさわったのが「ハト」であった場合、





「判る」まで行ける可能性は少ないが大丈夫か。

そうか、それはとるにたりないことなのか。


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2017年8月27日

7月、山梨、用事はレコーディング

先月、山梨に行ってきました。レコーディングです。




駅の南口で待っていて、と言われていた。
山梨までバスで着いて、降りた広いロータリーが南口だろうと思いこんでいたら逆だった。
こういう迷いのない思い込みってどうしたらいいのか。

今回もレコーディングエンジニアをお願いする玄さんが、駅まで車で迎えに来てくれていた。
まずはお昼ご飯を食べようということになっていて、
「うどんか寿司かカレー、どれがいい?」
と聞かれて、さっきまで「うどん」と思っていたのに口から出たのは「寿司」だった。

寿司屋に向かいながら、玄さんがその店の紹介を運転席からしてくれる。
「よく行くところでさ、息子さんと知り合いなんだけど、
すぐにはお店を継がずに一回違うところで働いて、戻ってきたんだよね。」

しかもその1回働いたというのが寿司屋ではなく、ケータリングを中心に新しい調味料の製造をしたり素材と季節を意識しながらの料理をつくるとかとにかく新しい可能性を感じさせるところだったのが、なおさらいいなと思った。好感。

そうして辿りついた寿司屋は昔ながらの趣で、
美しいツヤのかかった一枚板のカウンターは分厚く、
明るく玄さんと挨拶を交わしている大将の顔からもカウンターの木と同じような重ねてきた年月とこだわりが感じられた。

そこに息子さんらしき人が現れた。
笑顔でしそジュースを持っている。サービス品だ。
飲んだら、すごく美味しかった。
でも、こんな立派なお寿司やさんで、こんな立派なしそジュース、よろしいんですか?

そう思って顔を上げると、息子さんがメガネをかけていることに気づいた。

おしゃれな丸いやつ。

 

おしゃれなメガネをかけている人を見たとき、私は必ず確認することがある。

レンズがついているか、ついてないかだ。

息子さんは、「ない」に該当する人だった。

寿司屋の大将の息子さんのメガネにはレンズがなかった。

つまり、おしゃれだ。

それについての対応も対策もわからず、
顔をふせたところにちょうどお寿司が運ばれてきて、
一口ほおばるとすんごく美味しかった。

美味しい!

と思ってまた顔を上げると、また息子さんの顔があった。

するとそのメガネの、新しいポイントに気づいた。

 

 

針金でできていた。

 

寿司屋の息子さんのレンズのないメガネは、針金でできていた。

 

わたしは寿司に集中することにした。


わたしのしっているところを超えている。

 



【 おまけ 】
山梨の町内放送。さすが盆地。

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2017年8月14日

鎌倉に行くと、誰かに会う。

鎌倉に行ったら、駅前で栗山に会った。

「俺、医者に缶ビール止められてるんだ。」

と言いながら栗山は缶ビールを片手に歩いていた。

読んでいる本の続きを買いに本屋に向かっているというので着いてゆくことにした。
西口の本屋になかったから、東口の本屋へ。

本屋で栗山は3冊もの文庫本を片手に「あった!」と言っていた。
そして「俺さ〜、やっちゃってさ〜!
家にあった1巻を読んで、面白いと思って新しいのを買ったら、どうやらそれが最終巻だったらしくてさ!上杉謙信の親のこと書いた話なんだけど、なんか上杉謙信がもう大人になって活躍してるからさ〜、おかしいなとは思ったんだけどね!それ読んじゃったから、今その間を埋めてるところ!」
と、栗山は本屋で大声で自分の読書の現状を語った。

会計を済ませ、オススメのバーもしまっていたので
わたしのリクエストにより喫茶店に行くことに。

パフェを頼もうとすると、
「パフェなら〇〇(別の店)の方がいい。ここならホットケーキを頼むべきだ。」
と栗山は言った。しかしホットケーキの密度を受け入れる空腹のないわたしはチョコレートパフェを頼む。なおも栗山は隣の席のチョコレートパフェを見て、「クラシックだからやめたほうがいいんじゃない」みたいなことを言っていた。栗山は何にするのかと思えば、季節のパフェを指さしていた。
店員が「お決まりの頃にうかがいます」と言っていたのを忘れたのか、栗山は「すいません!」と声を上げ、それでも気づかれないともう1トーン大きく太い声で「すいませーん!」と叫んだ。
わたしは『仁義なき戦い』を腕が飛んだ序盤のシーンで見るのをやめてしまったが、出てくる男性はみなこんな声で喋ると思う。喫茶店にいるすべての客が、物騒な顔で栗山のことを見ていて、「この人はこれから、桃のパフェを頼もうとしているんです」と言ってあげたかった。

栗山は本屋でも、喫茶店でも、缶ビールを手放すことはなかった。
金属アレルギーの疑いがあり、背中にぽつぽつができているという。
季節が変われば治るといいね。


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2017年5月22日

テレポー定食、ありがとうございました。

2017年5月19日、下北沢lete、
酒井泰明さん(moools)とのツーマンライブ
ありがとうございました!

終演後、帰ったはずの酒井さんから電話があり、
「さいふ、わすれてませんか?」
と言われて会場を探したら財布の入ってないカバンが見つかりました。
(財布は手元にあったそうです。)
カバンの中に入っていた将棋セットで
わたしはこれから将棋の勉強をしようと思っています。

そういえば今回のタイトルの由来を言い忘れてました。
ざっくり言うと、酒井さんの夢の欠片です!

またやりたい、「テレポー定食」。

※ わたしのリハーサル中に将棋を打つ酒井親子。

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2017年5月17日

2017.5.17日記

「そういうときは運動。運動すると
いらない考えが1個1個とれていくよ。」
と言われて
ひさしぶりにプールに行った。

ほんとだ。
いっこ、いっこ、という感じではないが
わたしひたすらフォームや息つぎのことを考えている。
そして本当の気持ちが突然浮かんできた。

「カフェオレが飲みたい。」

コンビニでミックスサンドを買い、
家に帰ったら牛乳がなかったので豆乳オレを飲んだ。



(ところで濡れたままの髪で自転車に乗って風を受けた自然乾燥のほうがブローしたときよりまとまってるってどういうこと?)

2017年5月17日

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2016年11月22日

美人になるために(EYEコンプレックス3)

まさか2012年にもアイプチのことを書いていた。

===2012年12月6日(木)===

昨夜、電話でよっちゃんが開口一番

「ねえ、どうやったら美人になれるが?」

と聞いてきたので、考えず

「自分を美人と思うこと。」

と美人目線の答えを返すと、

「そうか。なるほど。」

純粋で優しい私の友達。

さらに話をすすめると、

よっちゃんは最近見た韓国ドラマのヒロインになりたいらしい。

ひとえ瞼のよっちゃんは

「寝る時だけ、アイプチ(糊を使い強制的に瞼を二重にするグッズ)しようかな・・・」

とつぶやき、

「職場でもしたら?」という私の提案には

「それは恥ずかしくてできん!!!」と猛反発、

最終的に彼女は

「仕事をやめて本格的にがんばる。」

と言った。

事の重要さは本人が決める。


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2016年11月11日

2016/11/10

「ぼく、かけっこで一番だったの。」

と、おんちゃん(5歳)は言う。

「すみれ組はとうやくんで、こすもすはみきちゃん、たんぽこではぼくが一番だった。」

所属しているクラス名らしい。

すみれ、こすもす、たんぽこ。

おんちゃんの組だけ、"たぬき感"がただよう。

「直してほしくないねん。」

と母の敦子さんは微笑む。

tanpoko
◆ 敦子さんの鳥

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2016年11月8日

EYEコンプレックス(成人編)

==(前回・幼少期編)==

ナースの友人がさわがしい。
「師長さんが、アイプチをしてきた!!!!」と言っている。
職場の人には言えなかったために私に連絡をしてきたらしい。
「わたし、夜勤明けやったがやけど、師長さん日勤やって、入れ替わりで会ってよ、そしたら! アイプチしちょったがってえ! 昨日までしてなかったのにで!? しかも怒っちょってよ! まあ業務上の、私には関係ないことやけど、そんなことより、わたし『え! 目!』と思ってえ! しかも他にも二人はべらかして話しよったがやけど、その人らあは気づいてなさそうやったしい!」
彼女曰く、その師長さんは"重度のひとえ"らしい。
それが二重になってきたら、
「さすがに気づくろ。」
そう言うと、彼女は、
「二重の人は人の目をそんなに気にしてないがってえ!」と豪語した。

そんなことを議論していたらさらに不毛な会話が増えそうだったので、渋々スルー。
それよりなにより、私にはわからなかった。

「そりゃ少しは驚くろうけど、驚きすぎじゃない? なんで?」
「!!!!!!!!!!」

ナースの彼女は「とし。」と言って、
「20代の子がやるなら分かるけど50歳の人が、
一体どういうきっかけで、どういう動機で、アイプチをするのか、
しかもそれを職場にしてくるなんて、気になるやん!」と言った。

それでも盛り上がらない私を「人選ミス。」と非難し、最終的に彼女は「わたしは、職場の誰よりも、師長さんの気持ちがわかる!!」

と叫んだ。


よっちゃんは一重であるがゆえに師長さんの気持ちがわかり、私もほぼ一重であるがゆえによっちゃんの気持ちがわかる。

「うらやましいがやろ。」


よっちゃんは今までも、今も二重になりたいと思っているのだ。
だけど人前でアイプチをすることに勇気がもてず、
夜、家の中だけでアイプチ(彼女曰く"コソ練")をしていた時期もあったが、
瞼にシワができそう、という理由でやめ、
でも今も憧れているのだ。その二重に、堂々と糊の力で近づいた師長さんを見て人並み以上に驚いたのだと思う。そんな彼女を少しでもなだめるべく、

「でもほら、今は昔より、アイプチはメイク感覚で認識されちゅうやん。」と声をかけた。そうだ、

私たちが高校生のころ、アイプチで二重に成り上がった一重には、どちらかというと「裏口入学/不正」みたいな雰囲気があった。

そう言うと初めてよっちゃんは落ち着いて、

「そうやね、確かに今はアイプチがメイクっていう認識が広まったね。」

と同じことを言った。



そしてよっちゃんは私が奥二重であることを今も認めてくれない。

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2016年11月7日

EYEコンプレックス

写真の中の父の目は一重(ひとえ)だ。
母はパッチリ二重(ふたえ)。
私は一重で産まれた。

小さいころ、目が小さいことを恥ずかしく思ったことがあった。
しかし二重の母から、「お母さんも小さい頃は目が小さかったけれど
大人になるにつれ、目が大きくなって二重になった」と聞き、
わたしは気に病むことをやめた。

小1、小2、小3、小4、小5、小6、中1、中2、中3、高1、、
わたしはすくすくと育った。

しかし高2になったある雨の日、ふと気になって
車で学校まで送ってくれていた母に、たずねてみたのだ。

「お母さんって、なんで二重になったが?」

「え? アイプチ。」

けなげなハートは雨と一緒にワイパーで飛んだ。

幼い私に優しい母のついたウソを信じ続けた数年間。
それでもまあいいかと思ったけど知らなかったおかんのアイプチの歴史を知りびっくりした。

現在、大人のわたしはやや奥二重だ。

少女時代から思春期にかけて、
大人になれば二重になると信じていた気持ちがそうさせたと信じている。

目

(アイプチの話、続きます。)

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2016年10月31日

2006年6月・日記

リリー・フランキーさんの講演を聞きに湘南台まで行って
帰りにハナエとサイゼリヤで赤ワインを飲んだ足取りで
そのまま江の島まで電車に乗ってみた。
夜の江ノ島はなんだか廃れた後みたいで海はやっぱり海だった。
マックの100円ソフトを食べながら歩いたら、風が強くて寒くなった。
横にいっぱい角材が落っこってたから1本白いのを拾って海ぎわまで歩いてみた。
戻るとき、砂に1本、その角材で線をひいて歩いた。
コンクリートのとこまで歩いて、ふり返って見て、なんだか、これでいいのだ と思った。

なぜかまた湘南台で降りてしまったがために終電を逃す。
終電の車内で声をかけられた。會ちゃんだった。
一度はここに浜がいるわけはない、と思って通り過ぎたそうだけど、
二度目に見て確信をもち、声をかけてくれた。
野球帰りの會ちゃんは「一度は新庄を見ろ」と言っていた。


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