2016年8月2日

どうして苦手なたべもの

親戚のおんなのこと、ご飯を食べた。

野菜が苦手らしい。キューリとか。

「あ、だからそのサラダも残ってるの?」

と、彼女の左手の前に置いてあるサラダを指すと、

「あ、葉っぱは大丈夫です。」

と、なんか若干いかがわしい聞こえの答えが返ってきた。

たしかに今も彼女、もやしを食べている。

「シャキシャキしたものは大丈夫です。」

「え、じゃあ、、、トマトは?」

「大きいのなら大丈夫です。」

「小さいのは?」

「小さいのは、口の中で “さくれつ” するからだめです。」

「小さいのを半分に切っても?」

「だめだめだめだめ〜!」

「・・・・・・。」

「あとはナスとか。」

「セロリは?」

と聞くとこの世の終わりみたいな顔で「ムリですー!」と言っていた。

っていうか、キューリ。

「キューリ、シャキシャキじゃないの?」

「キューリは味がだめです。」

・・・・・・。

ちなみに、その子の飼ってるハムスターの名前は、「シロクマ」だ。

水を飲むハムスターのシロクマ

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2015年10月30日

ハロウィンの準備

引っ越しをした。

新しい家から駅までの道中に、
大きなハロウィンの飾り付けがしてある。

一般人がやるにしては結構大掛かりなものだ。

作っている最中もそこを通りかかったが、
道ゆくマダムが「毎年楽しみにしてるのよ〜。」と声をかけていた。
どうやらそこに暮らすマンションの人たちが善意で行っているらしい。

数日後、同じ道を通ると、
未完成だったその飾りが完成していた。

大中小、様々なかぼちゃが光ったり点滅したり、
歩道脇に白いソフトクリームのような形をしたおばけがかぼちゃに座っていたりする。

メインとも見える黒い立て看板は見上げるほどの高さで、
ちりばめられた電気によって様々な絵柄が姿をあらわす。
その中には、見覚えのあるマークが。
加えて、ボードの中央部分に設置されているらしいスピーカーから、
聞いたことのある音楽も流れてきていた。


♩ チャーッラ チャーッラ チャーッラ チャーッラ チャッチャッチャララッ (× 繰り返し)♩


あれ? もしかしてこの曲……


♩ ゴーストバスターズ!! ♩


見覚えのあるマークは紛れも無くゴーストバスターズのそれだ。

ハロウィンにすごく賛同していそうななりをしておいて、
実はその醍醐味にも関わるゴーストを全て取り払おうという真のメッセージに、
何かただならぬ深い企てを感じた。



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2015年10月15日

幻の豚

昨日、スーパーで買ってきた沖縄の豚をしゃぶしゃぶにして食べた。

とても美味しかった。

それで、初めてのバイトのことを思い出した。

今になって言うのはなんとなく恥ずかしいが、
上京して初めてしたバイトは麻布十番の居酒屋だった。

(憧れの塊だった。)

その店は、1階がカウンターのみで2階がテーブル6席ほどの程よい大きさの、
芸能人なんかも時折訪れるような、それなりに値のはる雰囲気もある店だった。

店が提供する料理の中には、
「メイシャントン(梅山豚)」という豚を使ったものがあった。

メニュー名にも豚の名称がそのまま使われていたものだから、
私はバイト早々、お客さんから
「この、メイシャントンっていうのは何ですか?」
と聞かれ、あわてて厨房に聞きに行くことになった。

「市場にもなかなか出回らない貴重な中国の豚だよ。」
と社員の人から説明を受け、
そのままをお客さんに伝えてから裏に戻ると、
メイシャントンに関するまた別の情報を教えてもらった。

私はむしろ最初の説明より、後付けの説明の方に好感をもち、
以後お客さんから同じ質問を受けたときには、そちらの方を伝えることにした。

客「 この、メイシャントンっていうのは何ですか? 」

「 西遊記に出てくる豚です。」

「 ……。」

私は現場の空気が一瞬止まるのも全く気にならなかった。
だって、貴重なブタさんだもの!

だけど今なら分かる。

誰が、西遊記に出てくる豚と聞いて食欲をそそられるだろうか。

誰が、西遊記を見ながらキャラクターの味を想像しているというのか。

「それ、食べたかったんです!」と言われても私自身たじろいでいたと思う。

たぶん何かしらのロマンを感じていたのだ。

その答えだけに。

こんな東京の一角で、西遊記と出会えることに。

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2015年5月23日

大丸の前の公園に毎夜、占いの屋台が出る。

大丸の前の公園に毎夜、占いの屋台が出る。

夜になると気づいたらそれはある。



何年か前に結婚した友人が、

そこの占いで「愛媛の人と結婚するでしょう」と告げられ、
その後実際に愛媛の人と出会い結婚することになった。


それを聞いた私の友人達は連れ立って、
占い屋台にかけこんだというのである。

後日。

友人達は今度は連れ立って私のところにやって来て、

占いの結果を報告してくれた。
だからその内容をここに記しておく。

−−−−−−−−−−−−−−

ユウ。



☞ 5月29日に激しいキスをされる。

アヤカ。

☞ 6月か9月に結婚式に行って結婚感が変わる。

シズナ。

☞ 深夜2時、ダニにかまれる。

−−−−−−−−−−−−−−

すごい占い師だ、
ジャンルを全く問わない。

その後ユウが激しいキスをされたのか、

アヤカの結婚感は変わったのか、
シズナはかまれたのか、
確認はしていない。


(2013年4月、高知にて)

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2014年12月1日

私的インタビュー 【 ホホホ座 】

山下さん(以下、山):なんか、話を、するんですか。
浜口(以下、浜):なんか、合間があれば、聞きたいなと思って。
山:ああ、そ!なんか、なんすか、なんでも。
浜:昨日と髪型が違いますね。
山:そう?
浜:はい。
山:昨日は、お風呂、朝入らへんかったから。
浜:あ、そうながや、そっちの方が整うがや。
山:え!ストンとなってる? ワサワサ?
浜:昨日はフワッとしてて、今日はピヨッとしてます。
山:ピヨッとしてますか・・・ちょっと時間なかったんで・・・ブロウがね。
浜:恐れ入ります。そんな日に・・・ 。
山:いえいえ。

*****************

こんな調子で始まったインタビューは、
京都に旅行中、大好きな本屋さんで見かけた本がきっかけだった。

「わたしがカフェをはじめた日。」


絵本を思わせるような固く大きな表紙に、味のあるイラスト。
店頭で貼り紙と共に置かれていたその本は、
まさにその店「ガケ書房」の店主、山下賢二さんをはじめとする
新ユニット「ホホホ座」によって制作されたものだった。

ガケ書房、店頭


――「ホホホ座」とは!?


浜:なんか、すごい面白そうやなと思って。
山:何が?
浜:ホホホ。
山:ホホホね。
浜:ホホホ。あ、ホホホって略したら失礼か。ホホホ社?
山:座、座。ホホホ座ね!
(一同、笑)
山:なんにも分かってへん。
(一同、笑)
山:ボンヤリしすぎや。
浜:ホホホが、ホホホがインパクトあって。
山:ああ、はい。ホホホ。

――ホホホ座とその構成員たち

浜:いつ結成されたんですか?
山:3年前。
浜:飲み屋で? 京都の?(本の付録「往復便多」*に記載)
山:そうそうそう。
浜:そこにホホホ座になる人が皆いたんですか?
山:そうなんです。絵を描いた人はいなかったですけど、
  男3人は皆呑んでて、いました。
浜:あ、絵を描いた人だけが、あの、紅一点*なんですよね。
山:紅一点。
浜:すごいですね。
山:いいえ。
浜:(本に)載ってるイラストも全部その方が描いたんですか?
山:そうそうそう。
浜:元々絵を描く方なんですか?
山:どっちやろ。元々デザイナーやと思うねんけど、
浜:絵も描けるんだ。
山:絵も描けるんだ。
浜:その人はどうやって(ホホホ座に)入ることになったんですか?
山:その人は、その、もう一人の人が信頼してて。
浜:マツモトさん*?
山:そうそうそう、松本さん。一応「コトバヨネット*」所属でもあったので、彼女は。
  どうだろう、ということで。まぁ僕も元々知っててんけど。お願いしようかということで。

――ホホホ座のはじまりと、きっかけ

浜:3年前やろうぜってなって、それで、カフェを、特集しようと思ったんですか? 同時に?
山:んー、元々ね、僕が単独で、あるカフェの店長さんに頼まれて。
  その2階のギャラリーで展示をしてほしいって。
  でも展示するもんないから、カフェで何かするんやったら
  じゃあカフェに関する本、なんか売ったらええか、と思って。
  本を作って、その作る過程を展示して、できたやつも販売したらええんちゃうかと。
浜:展示を頼まれて、で、やったんですか?
山:いやいや。実際に展示はしなかった*。
  やるために、本を作ろうかなと思って、
  それで松本さんに、こんなんしようと思うてんねや〜って言うたら、
  それやりたい、って言って。ほんで一緒にやろか、ってなって。
浜:松本さんも、やりたいって?
山:そう。ぽろっと話をしたら、興味が会ったらしくて。喫茶店、カフェ。
浜:喫茶店に興味があった?
山:とか、カフェの、女性の生き様とか。
浜:喫茶店の女性の生き様に興味があった。
山:うん。ほれで、じゃあ一緒にやろうか、
  一緒に作ろうかって感じにちょっとずつ固まって行って、足場が。
  あぁ、そうや!ホホホ座やこれは!ってことになって。
  その時点で2年前くらいやってんけど(笑)。
  「ホホホ座でまとめあげたらええんや、この企画」。
浜:たしかに。今聞いても、ほんまや、と思います。
山:ちょっとずつ、高めていって、それでメンバーも…
浜:その時に女性も入ってきたんですか? 元々の3人に。
山:そうそうそうそうそう。

――ホホホ座の「あいづち」担当者!?

浜:奥付に書かれてる構成員の中に、
  「あいづち」担当ってありますけど、何なんですか? あの…(笑)
山:(笑) 彼は・・・
浜:一緒に(インタビューに)ついて来てたってことですか?
山:加地君*っていうんやけど、「100000t」ていう店をやってて、
  加地君は、3年前に結成したメンバーの時いてんけど、
  本を作っている最中は全く教えへんかった。何をしているかとか。
  出来上ってから、出来たで、って(笑)。
  基本、彼は「あ〜、ええんちゃう?」とか、あまり物事を否定しないタイプ。
浜:素晴らしい人や。
山:肯定してくれるタイプやから、“相づち役”。
  「ええんちゃう?」「それええやん。」「お〜。」とかって(笑)、
  「めちゃくちゃええやん。」とか、相づち役やん。
浜:私、てっきり取材に行って、横で、
山:あ、違う違う違う。
浜:自分たちの相づちなんだ…!
山:そうそう。
浜:「あ〜なるほど〜」って言う人かと思ったら、
山:自分たちに対しての。相づち。

浜:え、じゃあ、ホホホ座結成の時、メンバーとして一緒には呑んでたけど、
  何をしてるかは知らされないまま、できた時に、、
山:そうそうそう。出来た時に、こんなん出来たよ〜、
浜:じゃあ喜ばれたでしょう!
山:喜ばれた(笑)。「めちゃすごいやーん!」とか言うて。
浜:その時も相づち。
山:相づち。ええやろ〜、とか言うたら「ええやん!」。相づち。
浜:いい人や。
山:相づち。
浜:その人、本当に相づち担当なんですね。
山:相づち担当。彼がいて初めてGOサインが。
浜:できたんだ。
山:心の中のGOサインが。
浜:あ〜、いい人や〜、必要や〜。
山:必要必要(笑)。後押ししてくれる。

ガケ書房、店内


――ホホホ座という名前の由来


浜:まず名前(ホホホ座)が面白いなっと思って。
山:ありがとうございます。
浜:どうやって決めたんですか? 飲み屋で?
山:飲み屋で。◯◯座っていうのがいいなって思って。スカラ座、みたいなさ。
浜:なるほど。
山:カタカナ使いたかったから。
  “ホホホ”ってシンメトリーなんです、縦も横も。1本線で全部繋がんの。
浜:ほんとだ!
山:それもいいなと思って。
浜:なんか理由がめっちゃかっこいいですね。
山:そう?(笑) 理由っぽかったかなぁ?
浜:シンメトリー、みたいな言葉が出てくると思ってなかったです。
山:あ、そうそうそう。それたまたまやけど。
浜:見た目とかも考えて? 笑い声とかじゃないんですか?
山:あー、じゃあ・・・それで。
浜:(笑)
山:でもまぁ、「ホ」っていうのはね、ちょっと脱力の、「ホ」って発音やんね?
浜:はい。
山:「ガ」!とかよりね。「ガ」!とかもう、なんかもう。ホ。ホっとしたいやん。

表紙


――ホホホ座の真相

浜:じゃあ、今、したいことって何なんですか?
  サポート的なことなんですか? 何かを広めたりってこと?
山:僕がしたいのは、ホホホ座で・・・。
  あれ、「作品」です。1st Album、ホホホ座の。完全に。
浜:カッコいい!
山:ほんとにほんとに。世にいうバンドやから、次は2nd Albumを・・・
浜:計画? もう進行中ですか?
山:うーん。ボンヤリ。
浜:1st Album、ジャンルで言うとどんな感じですか? POP? ROCK?
山:ロックでしょ。
浜:あああ(興奮)満足です!
山:ロックの名盤でしょ、あれ。
浜:調子に乗ってますよ。名盤だと思いますよ。
山:どっちや。

―― 中略が入ります。

浜:「ガケ書房」って、できてから何年目になるんですか?
山:10年。
浜:そうなんですか、長い!
山:大変、もう。
浜:えらい!
山:いやいや、もう。心が折れそうです。
浜:(笑)10年? すごいですね〜・・・ガケ10年・・・
  それまで何してたっておっしゃってましたっけ? 京都に?
山:いやいや。東京で編集者をして、印刷屋さんで働いて、古本屋さんで働いて・・・

(ここから数十分、山下さんの歴史に聞き入る浜口)

(数十分後)

浜:・・・いかん! ホホホ座さんについて全然聞けてない!
山:いやいや、ホホホ座はね、これからなんでね。
  あれが全てですよ。今のとこは。
浜:そっか。
山:うん。今のとこあれが全て。

中身


―― 本ができるまで

浜:どれくらいの期間かけて(本は)出来上ったんですか?
山:これねー、大分のんびりしたねぇー。
  取材したんは2年ぐらい前からやってて、インタビューの文字起こしってあるでしょ?
  それを僕がやんねんけど、ずーっとサボってて。
浜:よく掘り起こせましたね、記憶。なんか、録音で?
山:録音、してたね。録音してた。
浜:それを聞いて、
山:そう、聞いて。ゆっくりゆっくりやってって。
  多分、すぐやったら半年ぐらいでできたんやけど、2年かかりました。それがあったから。
浜:大作。
山:とろとろとろとろ。煮込んだんです。
浜:書ける時まで待って。
山:そうそうそう。
浜:2年前ってことは、2012年。
山:うん。
浜:インタビューってしたことあったんですか?
山:ありました。
浜:あるんだ!
山:僕、あの、ガケ書房のサイトを掘ってったらある、
  「タブーインタブー*」ってコーナーがあるんですけど、
浜:たぶーいんたぶー?
山:タブーの中のタブーって意味と、
  タブーのインタブー……インタビューっていう2つの意味があるんです。
浜:タブーの中の……うん。うん。うん。
山:要は、町歩いてて、もしくは知り合いの人で、
  「この人、ミュージシャンって言うてるけどほんまは何で飯食うてるんやろ?」、
  「この人、子供の時どんな感じやってんやろ?」、
  「この人の一番の武勇伝ってどんなんやろ?」っていうのを、
  まとめて出すっていう、インタビュー記事。
浜:わかる! すごい興味あるのわかります!
山:わかる?
浜:結構同じような動機ですもん、多分。
山:ああ。
浜:多分それだけ、な気がする。それを聞いたんですか。気になる人に。
山:はい。で、まとめてます。
浜:で、それを(HPに)あげてる。
山:あげてます。おもしろいっすよ。
浜:おもしろそう。
山:結構強烈な。

―― ホホホ座のメッセージ

浜:だからそれに近いものは感じますもんね、質問内容とか。すっごいリアルじゃないですか。
  なんていうか、“喫茶店ってこういうもの”みたいなところからは発してないなって感じがします。
  違う? リアルに感じる?
山:うん。まぁ、そう。そうそう。
浜:やっぱり、女性、その店主への興味があるのかしら。
山:最終的に、あの本は誰に届けたいかっていうと、あのー、メディアに届けたいんですよ。
浜:メディア?
山:メディア。作ってる人たちにあれを届けたい。
浜:本とか? TVとか? 全部?
山:そうです。「そろそろ、もう、次の、提案、しましょうか?」みたいな。
  要は、ああいう“扱い方”って大分もう決まってきたでしょ?
浜:確かに。
山:理想の私、みたいな。
浜:はい。
山:じゃなくって、その“私”の元にある物語を、もっと前に出したりとか。
  すかすかの白っぽい世界だけ紹介するのも、僕たちは嫌やなと思って。
浜:ほんとですね。
山:そしてあれになりました。
浜:(拍手)
山:ありがとうございます。なんか、恥ずかしい。言うた自分が恥ずかしい。
浜:全然。いや、すごい。ほんまやなぁと思って。
  じゃあ何を伝えたいとかっていうのも、今のところにつながってくるんですか?
山:そうですね。だから、大きく言っちゃうと、、
浜:言っちゃって下さい!!
山:男の復権、とかですね。
浜:はい?
山:(笑)何言うてんねやろ。
浜:(笑)いやいや。
山:今、経済もこういう商品とかも、全部やっぱり女の人中心で回ってるから、
  もう少し男の人に頑張ってほしいなっと思って。
  あれも実は、女の人を題材にして買ってもらうようにしてるんですけど、
  ちょっとずつ切り崩していくための第一歩で。
浜:どう、どうなっていくんですか? それって。
山:うーん。なんかね、男の人がどんどん白痴化していってる気がして。
  なんか難しいこと考えずに欲望だけで生きていってるような。男の人は特にね。
浜:女の人はそんなことないと思いますか?
山:女の人は、理想を、とにかく求めるなーっと思って。色んな理想。
浜:そうかも。
山:そう。
浜:そうかも。
山:うん。そうなんです。
浜:じゃあ、第一弾としては、
  さっきおっしゃったみたいな問いかけ的なことが、一歩目みたいなことなんですかね。
山:そうですそうです。

――自分たちの生の言葉をちゃんと喋ってほしいってこと

浜:喫茶店を選ぶ基準ってあったんですか?
山:ある意味、僕たちが選んでる時点で、
  ちょっとフィルターがかかってしまってるとこあるなぁと思ってて、ずっと。
  他の人が選んだらもっとふんわりしたとこが、どっちか言ったらハードコアな店ばっかり。
  ルックスは、例えば「つばめ」さんとかはふんわりしてるイメージやねんけど、
  お話聞いたら一番実は厳しい人やったし(笑)。
  笑顔で喋らはんねんけど、なんか、すごい美意識がしっかりしてて。
浜:「30の質問」のコーナーとかあるじゃないですか。
山:面倒な、、

中身_2

浜:あれもなんかその本人の、暴くっていうか、
山:うん、そう。インタビューは“話し言葉”で、アンケートは“書き言葉”。
浜:あ、書いてもらってるんですね、あれ。
山:そう、書き言葉。その対比を、ちゃんと。
浜:その対比を見せることの効果って、それだけ本人が見えるってことですか?
山:そういうこと。それで一斉に並べる、他の人たちと。
  あれでそれぞれのキャラクターが浮き彫りになる。
浜:科学者みたい!
山:いやいやいや。僕好きなのは並列するキャラクターが共存してるの、僕好きなの。
浜:いっぺんに見れる?
山:そう。カッコいいでしょ、なんか。全員がすごい粒ぞろいの人が揃ってる。
浜:じゃあ(お店を)どうやって選んだかっていうのは結局、
山:人かもね。人。

――デザイン・イラストについて

浜:デザインとかはイラストを描かれた方がまとめてやられたんですか?
山:そう。イメージとかは全部こっちが伝えて。
浜:イメージって、「女性に受けそうな」、とか、
山:女性向けと、こういう雰囲気にしたい、時代性をなくしたいとか、
  雑誌のレイアウトの世界観を崩したいとか、そういうのですかね。
浜:全部、崩す、崩す。
山:そう。基本的にね、セオリーを崩す方ですから。
浜:デザインもそうだったんですね。
山:よく見たらね、ページのね、位置も違ったりするんです。全部、紙に色載せてるし。
浜:そうなんですか!
山:そう。古い感じにして。
  一回コピーをとって再加工して、粗い感じにしたりとか。
浜:店ごとでも違いますもんね。写真のバラつかせ方とか、絵の大きさとか。
山:こういうのありえへんからね。今の雑誌じゃ。
  こういう思い切った、手書きのレイアウトやから。
浜:だから懐かしい感じがして、とっかかりもある感じに見えてたけど、でも実は崩してたんだ。
山:そう、崩してる。
浜:今を。
山:そうそうそう。

――ホホホ座、新メンバー募集!?

浜:“ホ佐”ってなんですか? 募集してるじゃないですか?
山:ああ。本当に2軍メンバー(笑)。2軍メンバー。
浜:何する(2軍メンバー)?
山:あの、たけし軍団セピアみたいな。
浜:セピアがあるの!?
山:要は、なんて言うか、僕たちホホホ座の手助けをしてくれる、補佐補佐。
浜:なるほどなるほど。ボランティアで、募っている?
山:そう。頑張ったら点々がついてホホホ座になれるっていう。
浜:頑張りによっては、 同じメンバーに?
山:そうそう。
浜:どこに住んでてもいいんですか?
山:いいですよ。・・・狙ってる?
浜:いや〜、分からん、私にできること何があるがやろ。
山:(笑)
浜:でも、なんか、(インタビューして)いいのかな、と思いつつ、聞きたいと思ったし、
山:はい。
浜:こういう動機を、殺したくはないなと思って、
山:はい、はいはい。
浜:で、聞いてますけど、この時点で、自分がもうホ佐なんじゃないかって、
山:補佐補佐!ホ佐やねぇ!


――――――((私的インタビュー:2014年9月ガケ書房にて))――

※往復便多:「私がカフェをはじめた日。」についてくる初回限定副読紙。
      山下さんと松本さんの対話形式で、企画が始まる経緯や、
      実際のコンセプトなど、大変分かり易く書かれています。
※松本伸哉さん:ホホホ座のツートップ。山下さんと共に、企画・編集・取材を担当。
※コトバヨネット:松本さんのお店。山下さんも実態を掴みかねているお店のHPはこちら
※ホホホ座の紅一点:早川宏美さん。デザイン・イラストを担当。
※加地猛さん:ホホホ座の「あいづち・広報」担当。加地さんのお店[100000t]のHPはこちら
※幻の展示:本のきっかけになった展示を山下さんに依頼したのは、
      本の中にも掲載されることになる「雨林舎」さんだったとのこと。
※山下さんのインタビューブログ「タブーインタブー」はこちら

山下さんと私、2013年

写真右:ホホホ座座長・ガケ書房店主:山下賢二さん

写真左:インタビュアー・書記:浜口寛子 


***改めてホホホ座先鋭の第一弾!本のご紹介****

『私がカフェをはじめた日。〜どうして彼女はカフェなのか〜』

話題の企画集団・ホホホ座による編集本第1弾。
京都で一人でカフェを切り盛りする女性店主たちの開業まで
を男性目線から聞いた特殊インタビュー集。
初回版特典:ホホホ座精鋭による制作裏話往復書簡「往復便多(おうふくびんた)」付
色々ある仕事の中で彼女たちはなぜカフェなのか? 特別寄稿:よしもとばなな

<目次>
マニアックスター
ひだまり
雨林舎
つばめ
KAFE工船
チタチタ喫茶
喫茶ウズラ

・京都女性店主への30の面倒な質問
・あの空気(よしもとばなな)
・私がカフェをはじめた日の詩
・ホホホ座のご案内

〈以上、ガケ書房HPより抜粋〉

※初版本の在庫がわずかになっているそうです!

★ 問い合わせや取扱店舗などの情報→ ホホホ座・公式Facebook頁

 

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2014年8月22日

それぞれのテクニック


「お前にいいテクニック教えてやるよ。」

前後の会話文がなければ、エロティックにも聞こえる台詞をはいたのは友人Sである。
昨夜Sの行った立ち飲み屋にはハスキーボイスのお姉さんがいて、しきりに
「私、顔がコンプレックス。」
ということを大声で言っていたらしい。
「そんなことないよ〜」という周囲の声に対し、彼女はこう答えた。

「本当ダメダメ!スタイル以外。」

色々とダメだがスタイルだけは抜群、という最終的なメッセージに、
友人達の心には穴が開いた。

「ズキューンときたよな。」

昨夜その場にいたという他男子達も皆、目を閉じてうなずく。

「だから浜ちゃんもこれ、使うといいよ。」と言われたのだが、私は

「できない。」

そう答えた。

— いつかその相手がステディになった場合どうするの?
— スタイルに期待をかけておいて失望させたくないでしょう。

というようなことを言ったら、


「お前、老舗か。」


と言われた。

— 長い目で見たら相手を裏切ることになる。
  そんなことはしない。

私は、老舗。



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2014年5月29日

明日、髪を切ります

明日、髪を切ります。(タイトル通り)
 
なんか髪を切ろうと思う瞬間は勢いがあって
気持ちが先に未来に待ってるような気持ちになってよいのだけど、
いざ切る瞬間になると戸惑います。
 
特に美容院に行って、
シャンプー&リンスしてもらって、
鏡の前の椅子に座って
ブローしてもらった後のあの瞬間!
 
あ、今の髪も案外いいな、と思ってしまうのです。
 
ブローの、問題!
 
私が日ごろ、手ぐし&気分だけで行うドライヤーが全ての根因であることに気付き、私は舞台を前に戸惑います。
 
ああまるで人生。過ぎ去る時に初めて良さを知る。

重い!!
 
というわけで、明日髪を切ったら明後日ライブです。
 
私自身、音がとっても好きな、神保町試聴室です。
 
髪もなるだけきれいに整えて、未来先にと、お待ちしておりますので!

→ ライブ情報はこちら

 

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2014年4月20日

母は上京中

ここ3日間、母が東京に遊びに来ていた。

金曜の朝から来て大江戸ハッスルしていた母と夜になってから落ち合う。

外で夕飯を食べながら母は、
その日あった地下鉄での話を聞かせてくれた。

電車に乗っていると、
向かいに座っていた小学生らしき男の子が
「グリーン車みたいだね。」
と母に話しかけてきたという。
「知らん。」
と答えると、その子は
「えっ!グリーン車!知らないの!?」
と驚き、母が
「そう。」
と答えると、
「ま、グリーン車だって、信じなよ。」
と母を励ましたのだという。

母にはこういうエピソードが多い。

全く知らない人から
「校長先生!」
となつかれたり、
スーパーで買い物していたら、レジの女の子が
「時給も安いし、やってられん!」
と急にグチをかましたり。

なんなんだろう。
母には「話しかけてもいい何か」があるんだろうか。
「話しかけてもいい何か」が、
私は娘だからイマイチ分からない。

母は日曜日の今日、
「あ〜現実に戻らないかん〜。
 シンデレラでいたかった〜。」
と自分のことを良く言って帰って言った。


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2014年2月8日

2月8日、午前

雪が、ふっている。

昨日の夜までは部屋のベランダから見下ろすこの景色に
雪が加えられたところを想像したこともなかったのに。
白い。
私はあまり雪の降らないところで育った。
雪の積もった誰か知らない人の家の屋根やまだらに白くコーティングされている街路樹を見て、
思い出すのは小学校5年生の頃のことである。
ある日、雪が積もった。
10年生きてきた中でもその日一番雪が積もった。
学校に行くとみんなが頬を赤らめていて、なんと一時間目が、急に休みになった。
「外に出て遊ぶ」時間。

その時味わった感覚は初めてのものだった。
想像のしていないできないところにぽっかり遊びが現れて、それに取り組んでいい一時間。
戸惑いと「いつもじゃない」感覚が、それこそ雪のように胸の中で浮遊していた。

雪が積もったその日、一時間目が休みになったこと。
雪のせいか時が経った記憶のせいかぼんやりしているグラウンドの風景。
今も雪が積もると思い出す。






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2013年9月12日

キーファがいなくなってしまった

キーファが、いなくなってしまった。
隊列で先頭に配置していたキーファが、自ら、私達との冒険から離れて村に残ると言い出した。
キーファは冒険の始まりから苦楽を共にし、最もレベルが上がるのも早く、
戦力として一番あてにしていた人物だった。
そのキーファが、グランエスタード国の跡取り王子・キーファが、
レベル15にして隊を離れる、と。

すみません、今年の夏から始めたドラクエの話です!

なにぃ〜!!?、と私は思った。
最もアテにしていたのは勿論だが、
アテにしていたからこそ装備させていた高額の武器や防具はどうなるのか!!!、
私の頭に浮かんだのはそれだった。

キーファは今回、初めて着いて来なかった。
今回の冒険には出向かず、村にいる娘を守ると言い、
私達がひとつ課題をクリアしている間に娘との関係を深め、
戻ったら「俺の使命が見つかったような気がする、この娘と民族と生きる」と言い出したのだ。

(ドラクエの経験がない方にも説明しておくと、主人公が、
 つまりコントローラーを握った私が操作できるのは隊列に並んでいる人物だけなのです。
 現在キーファは隊列から離れているため、彼の道具を私がいじることはできないのです。)

「えーーーーー!」
画面の前でも一人声を発して、どうしたものかと思っていた私に
キーファが、「そこまで送るよ。」と言った。

そして数時間ぶりに隊列に加わり、
“◯ボタン”を押すといつものようにキーファの道具や並び順などを変えることができることに気づいた私はその場から一歩も動かず、キーファが列に加わってすぐ、剣、盾、装飾品、身につけていたものを全てひっぺがし、その他持っていた薬草、どくけし草、あらゆるもの全てを「ふくろ」に「うつす」した。

果たして、キーファはどう思っただろう。

善意で見送ろうと言い、いつものように隊列に並んで即時、身ぐるみはがされる気持ち・・・。
私も、苦いとこそばゆいを混ぜたような気持ちを感じながら、
現世へとワープ(過去と現代をワープしながら冒険しています)することのできる場所へと歩いた。
画面上では1mにも満たない距離を移動し、ワープ地点へ着いた瞬間、
キーファの体が主人公の側へ寄った、そして現世に戻った時、
隊列の側にはふくろが落ちていた。
「なんと!キーファの持っていた道具だった!」
というような文字が画面上に出て、
他の仲間が「キーファのやつ。」などと言った。

しかし、その中身はないのだ。
私が根こそぎ取ったから。
ただ、そう設定されていただけなのだ。コンピューターも、私も。


(2013年、8月末)




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