2023年2月26日

ママ友

敦子さんの家に行く。
引っ越してから、会うのは初めて。
いつからこっち来てたん?
と聞かれて、
6月です。
と言うと、
ちょっとあいさつに来るの遅すぎひんか?
と極道の妻みたいなことを言われる。
でもその後「言ってみたかったんや」とフォロー。
でもやっぱりその後「それにしても遅すぎるなぁ」と言ってたので
どちらかというと 言ってみたかった というよりただの本心だ。

夕方頃から公園に行くらしい。
前日から、すでにメールで「ママ友もいるで」と連絡があった、
公園に行く前にも「ママ友もいるけどどうする?」と心配してくれる。


ママ友


というのがよくわからない。
まあ自分にママ経験がないから自然なことかもしれないけど
ママ友という3文字からはなぜか明るいものを感じない。

そしてどちらかというと馴染めないであろう予感だけが強くある。

それなのに、敦子さんに、ママ友?
どうやってママ友と交流をしているのだろう?
ママ友との交流というのはどんなものなんだろう?
敦子さんはママ友に何を感じているのだろう?


「普通やで」

と敦子さんは言う。「今、起きてることを、言う。」


遊んでる子どもを眺めて、それについて喋ったり、
互いの子どもの兄弟「さいきんお兄ちゃんどうしてるん」を話したり、
あとは今日の天気のこと「今日も寒いなー」など。

今、起きてることを、言う。

敦子さんは言った。
事実、私と話しているとき、敦子さんはすごくたどたどしかった。

「え、それ、それは、それ、とは?」

みたいな感じ。語尾が「とは?」
なにか高度な数式の解答を求められているのかと思った。


「いや、人と話すん久しぶりやからさ。」

と敦子さんはママ友を除外して言った。

いざ公園に行くとなったとき、

ママ友は何人?

聞くと

「最近1人増えてん。
 3人になった。」

と敦子さんは言った。

敦子さんを入れて、3人。
ママ友は、2人。
元々は1人だった。ママ友。

〜・〜・〜・〜

結局私は公園に行き、
ママ友2人と会い、
あいさつするときおそらくそのNEWママ友であろう人が
マスクをとってあいさつしてくれた。

その後敦子さんがもう一人のママ友に

「あの人の顔はじめて見たな。」

と言っていた。

遊んで10回くらいらしい。

ママ友にはそれぞれのママ友の世界があるということだろうか。

人生いろいろ、ママ友もいろいろ。




【写真:敦子さんの家で陽の方角へと向かってたくましく育つ豆苗】