2022年12月18日

へんな答え

美術館で映像作品の展示を見た。

入り口からすぐのところに対面したような形でふたつの関連する作品があり、
その間に椅子と座れる空間、そこに出演者の背景や喋っている内容に関する情報等の掲載されたパンフレットが置かれている。

実際映像のなかで話されていること(台詞、スクリプト)とパンフの内容を照らし合わせてみても、どうしても見つけられないものがあり、どんな風にそれぞれが作られているか少し気になったので、奥まったところに立っていた監視スタッフに尋ねてみる。

「すみません、あの映像で話されている台詞が、
 全部ここに載っているわけではないんでしょうか?」

するとその短髪の女性は「すみません、ちょっと、不勉強なもので」と言いつつ
私の持っていたパンフを手にとり、ペラペラとめくりはじめた。

めくって、どうなるのだろう。

と思う。

ペラペラしながら、ちょっと映像を見たりする。

この数秒で、パンフと映像の何を照らし合わせられるというのだろう。

私はボーっとする。

「あの、今回、展示されている作品は全部で3時間××分、だいたい4時間ぐらいあるんです。」

急に、その人は言った。

「当日のうちに再入場もできるチケットがあることをご存知ですか?」

「はい。なんならそのチケットで来てます。」

「そうでしたか!あの、当日のうちでしたら、また後日に来られるチケットを受付で…」

「あ、あの、そのチケットで、来てます。」

「あ、そうでしたか!」

 

それは、

聞いていない。

と思う。

 

世に出ると、時々こういうことがある。
派遣で働いた時にもあった。同じ職場の派遣の人。
聞いていない何かしらの回答が、親切顔でやってくる。こちらに

いつも出どころが分からないけれど、多分そこに私は関係していない気がする。