2022年5月1日

はじめての〇〇デート

大学2年生のとき初めて髪をベリーショートにした。
それは夏、当時付き合っていた人とどうしても花火が見たくて、
でも東京で花火が見られるなんてディズニーしか思いつかなくて、
彼氏と花火を見るなんて初めてだからどうしても浴衣が着たくて、
友達に着つけをしてもらったんだった。わざわざ家まで来てくれて。
するとビックリするくらい浴衣とベリーショート(と顔)がちぐはぐで、合っていなくて、私は取り急ぎ、(驚いたのと思いつきとの順番は定かじゃないけど)ひょんなことから家にあったヘアウィッグをかぶって出かけたのだった。


たしか彼とは電車のホームか、
電車の車内で待ち合わせした。

けっこう地下深かったイメージがあるから大江戸線だったかもしれない。
私はすごくドキドキしていた。
デートもろくすっぽしたことのない、19歳だった。
浴衣を着て、今から彼と、ディズニーに、花火を見にいくのだ。
電車で、落ち合った彼はなぜか疲れていて、バイトの後だからか仕方ないかもしれないけれどどこか怪訝な顔をしていた。そして隣り合わせで車内の横長のシートに座ったのか、それともドア付近に立っていたのだったか、とにかくすごく困った顔で言ったのだ。「俺、日本人形とか苦手なんだけど。」


ディズニー・シーのコインロッカーに、
かつらを泣きながら投げ入れた女性はこの世に何人くらいいるんだろう?



怒っていてもなぜか記念写真は撮る