2018年8月25日
冒険のはじまり
説明書の 冒険のはじまり のページにはとにかくマップを回転してみようと書いてある。
まずは、3Dの空間に慣れることが大事だそうである。
L1ボタンは左に回転、L2ボタンは左に45度ずつ回転、
R1ボタンは右に回転、R2ボタンは右に45度ずつ回転、
そして□ボタンで、マップを引いて見渡すことができる。
自分で押してやってみる。ほう。
なるほどこれを使うことでスーパーファミコンの時代にはなかった、
建物の裏や物かげまでチェックしながら動くことができるらしい。
早速、町を歩き回ってみる。
タルや壺などが、建物の裏側にまで配置されている。
つまりマップを回転させなければ見つけられない壺などがあるということだ。
はじめてドラクエをプレイし最後までやりきったのは確か小学校中学年のときだった。
そのころは何がなんだかわからなかった。
何がなんだかわからなかったからこそ夢中で、最後までクリアする糸口を探したものだったが、
なんだか大人になった今、目的が、ゲームをクリアすることではなく、
壺とタルの中身をすべてチェックすることになっているような気がする。
建物の裏側はもちろん例のL/Rボタンを使わないと見えないし、場所によっては家と家の間でさえ方向を切り替えないと道が見えない。建物の中だって同様で、十字キーと一緒にLとRのボタンを操作しながら、私は人に話を聞き、人様の家の壺を投げ割り、タルを叩き割り、本棚をじろじろと見て、タンスの引き出しを開けまくる。
異変に気づいたのは1時間近く経った頃だろうか。なにかがおかしい。
その違和感がなんなのか、この時はまだ分からなかった、
私は10分夕寝をしてシャワーを浴びた。
そして家族とバイキングを食べに行った。
家に戻ったあと、またやってみた。
プレイすること20分。
やっぱりだ。
やっぱりあの感覚に襲われた。
腹部に渦が巻いているような強烈な違和感。
きもちわるい・・・。
私はドラクエで、酔ったのだ。
20分未満で、酔った。
恋人からメールがきていた。
「レベル2くらいにはなってるんじゃない?」
戦うこともせず、ただ人様の家のタルや壺を壊している私はレベル1のまま。
挙句、現実世界で酔っている。
返すメールも特にない。