2014年8月22日

それぞれのテクニック


「お前にいいテクニック教えてやるよ。」

前後の会話文がなければ、エロティックにも聞こえる台詞をはいたのは友人Sである。
昨夜Sの行った立ち飲み屋にはハスキーボイスのお姉さんがいて、しきりに
「私、顔がコンプレックス。」
ということを大声で言っていたらしい。
「そんなことないよ〜」という周囲の声に対し、彼女はこう答えた。

「本当ダメダメ!スタイル以外。」

色々とダメだがスタイルだけは抜群、という最終的なメッセージに、
友人達の心には穴が開いた。

「ズキューンときたよな。」

昨夜その場にいたという他男子達も皆、目を閉じてうなずく。

「だから浜ちゃんもこれ、使うといいよ。」と言われたのだが、私は

「できない。」

そう答えた。

— いつかその相手がステディになった場合どうするの?
— スタイルに期待をかけておいて失望させたくないでしょう。

というようなことを言ったら、


「お前、老舗か。」


と言われた。

— 長い目で見たら相手を裏切ることになる。
  そんなことはしない。

私は、老舗。