2014年2月8日
2月8日、午前
雪が、ふっている。
昨日の夜までは部屋のベランダから見下ろすこの景色に
雪が加えられたところを想像したこともなかったのに。
白い。
私はあまり雪の降らないところで育った。
雪の積もった誰か知らない人の家の屋根やまだらに白くコーティングされている街路樹を見て、
思い出すのは小学校5年生の頃のことである。
ある日、雪が積もった。
10年生きてきた中でもその日一番雪が積もった。
学校に行くとみんなが頬を赤らめていて、なんと一時間目が、急に休みになった。
「外に出て遊ぶ」時間。
その時味わった感覚は初めてのものだった。
想像のしていないできないところにぽっかり遊びが現れて、それに取り組んでいい一時間。
戸惑いと「いつもじゃない」感覚が、それこそ雪のように胸の中で浮遊していた。
雪が積もったその日、一時間目が休みになったこと。
雪のせいか時が経った記憶のせいかぼんやりしているグラウンドの風景。
今も雪が積もると思い出す。