2013年9月12日

キーファがいなくなってしまった

キーファが、いなくなってしまった。
隊列で先頭に配置していたキーファが、自ら、私達との冒険から離れて村に残ると言い出した。
キーファは冒険の始まりから苦楽を共にし、最もレベルが上がるのも早く、
戦力として一番あてにしていた人物だった。
そのキーファが、グランエスタード国の跡取り王子・キーファが、
レベル15にして隊を離れる、と。

すみません、今年の夏から始めたドラクエの話です!

なにぃ〜!!?、と私は思った。
最もアテにしていたのは勿論だが、
アテにしていたからこそ装備させていた高額の武器や防具はどうなるのか!!!、
私の頭に浮かんだのはそれだった。

キーファは今回、初めて着いて来なかった。
今回の冒険には出向かず、村にいる娘を守ると言い、
私達がひとつ課題をクリアしている間に娘との関係を深め、
戻ったら「俺の使命が見つかったような気がする、この娘と民族と生きる」と言い出したのだ。

(ドラクエの経験がない方にも説明しておくと、主人公が、
 つまりコントローラーを握った私が操作できるのは隊列に並んでいる人物だけなのです。
 現在キーファは隊列から離れているため、彼の道具を私がいじることはできないのです。)

「えーーーーー!」
画面の前でも一人声を発して、どうしたものかと思っていた私に
キーファが、「そこまで送るよ。」と言った。

そして数時間ぶりに隊列に加わり、
“◯ボタン”を押すといつものようにキーファの道具や並び順などを変えることができることに気づいた私はその場から一歩も動かず、キーファが列に加わってすぐ、剣、盾、装飾品、身につけていたものを全てひっぺがし、その他持っていた薬草、どくけし草、あらゆるもの全てを「ふくろ」に「うつす」した。

果たして、キーファはどう思っただろう。

善意で見送ろうと言い、いつものように隊列に並んで即時、身ぐるみはがされる気持ち・・・。
私も、苦いとこそばゆいを混ぜたような気持ちを感じながら、
現世へとワープ(過去と現代をワープしながら冒険しています)することのできる場所へと歩いた。
画面上では1mにも満たない距離を移動し、ワープ地点へ着いた瞬間、
キーファの体が主人公の側へ寄った、そして現世に戻った時、
隊列の側にはふくろが落ちていた。
「なんと!キーファの持っていた道具だった!」
というような文字が画面上に出て、
他の仲間が「キーファのやつ。」などと言った。

しかし、その中身はないのだ。
私が根こそぎ取ったから。
ただ、そう設定されていただけなのだ。コンピューターも、私も。


(2013年、8月末)