2022年9月11日
急に能 日記
「あれ、どうしてわたし、今ここにいるんだろう?」
お互いがそんなことを思っていた気がする国立能楽堂。
事の発端はおととい見に行ったレイトショー。映画は能楽をあつかったもので見終わったあとコーヒーを飲みながら「あー、なんか、能見たくなっちゃった。」とマヤちゃんは言って、わたしは(そうか、マヤちゃんは能が見たくなったのか。)と思って、マヤちゃんはその後も能見たい発言を2回はして、わたしはマヤちゃんすっごく能見たくなっちゃったんだなと思って翌日、私は私で、9月から働くことになり、決まったら決まったでああこれでしばし無職の日々ともおさらばと思うと8月残り2日の無職の日が大変に貴重(勝手)、マヤちゃんは明日も休み、私は明日の能のスケジュールを調べていた。その日のうちにメールで↑一応明日の能スケジュール↑と書いてめぼしい能のリンクを送った。マヤちゃんからの返事は行くとも行かないともどちらでもないやつで、私はちょうどよいと思ってそのまま寝た。11時間寝た。起きたら12時だった。ああこんな無職の日々ともおさらば…。お腹がすいていた。まずはマヤちゃんにメールした。「能、行く?」マヤちゃんからは「今すぐ動き出せないことを考えるとまた今度にしよっかな」と返ってきた。その時家でセサミを見てたらしい。「オッケー」と返して支度していると、「ランチの店、いいね」と返ってきていた。「能、行く?」と合わせてこれから行こうとしているランチの店の名も送っておいた。一応「いく?」と返すと「いこっかなー」と返ってきた。意外。しかも「最速10分で出るとして…」と返ってきた。意外。速い。なんなら今までマヤちゃんと知り合ってから一番速い。
そうしてマヤちゃんはやって来た。お昼を食べにやって来た。お店は人気で、ランチのピーク時間を過ぎたというのにまだ人が一人待っていた。その後につづいて並んでる時間に聞いてみた。「ランチ食べたら、能どう?」マヤちゃんはもう催しが始まっていることを気にしていたので、その場で電話して、途中からでも入れるか、最後の演目が何時からか聞いてみると途中からでも入れて、席も満席じゃなくて、最後の演目は15:19〜とのことだった。店を1時間前に出れば間に合う。マヤちゃんはとにかく「定食を食べに行く(能の観劇の含まれない)」つもりの身なりでしかないことを気にしつつ、「いいよ。」と言った。そして急きょマヤちゃんは演目「田村」についてのストーリーを調べ、読み上げてくれるストーリーを私は聞いた。そうしてマヤちゃんはチキン南蛮を食べ、私は鶏と茄子のおろし煮を食べ、ほぼ次の瞬間にはここにいた。
「私、ほんとに定食を食べに行くつもりの格好なんだけど…」、
その部分について不服そうなマヤちゃんを「素敵だよ!十分!」となだめながら、外は雨の中、私たちは能を堪能した。
2022年8月